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2022.07.25
消費者庁より「食品添加物の不使用表示に関するガイドライン」が公表されました(2022年3月公表)。「化学調味料無添加」表示等、うま味調味料が関連する部分についてご紹介します。
目次
「食品添加物の不使用表示に関するガイドライン」とは
加工食品の容器包装における食品添加物の表示方法は食品表示法に基づく食品表示基準で規定され、消費者の誤認を招く表示が禁止されています。ですがこれまで、その表示禁止事項の解釈が充分に示されておらず、「〇〇〇無添加」等の食品添加物が使用されていない旨の表示については規定がなく、さまざまな表示がされてきました。
そのような状況を背景に、本ガイドラインは、消費者の誤認を招かないよう留意が必要な事項を具体的にまとめ、食品表示基準第9条に規定された「表示禁止事項」に当たるか否かについて事業者が自己点検を行う際のメルクマールとなるものとして、策定されました。
(経緯:2020年3月公表の消費者庁「食品添加物表示制度に関する検討会報告書」でガイドライン策定について提起され、2021年のガイドライン策定検討会で検討を重ね策定された。)
本ガイドラインでは、「表示禁止事項」に当たる可能性が高い注意すべき表示が10 の類型に分類され、具体的に示されました。
消費者庁「食品添加物の不使用表示に関するガイドライン」はこちら
その中で、「化学調味料無添加」表示等、うま味調味料が関係する内容について言及されましたので、ご紹介します。
ガイドラインの内容についてご紹介 ―うま味調味料が関係する部分についてー
食品表示基準に規定されていない用語を使用した表示(類型2)
<ガイドラインより抜粋>
無添加あるいは不使用と共に、食品表示基準において規定されていない用語を用いる表示をいう。
本類型のうち、表示禁止事項に該当するおそれが高い場合として以下のようなものが考えられる。
食品衛生法において、食品添加物には化学的合成品も天然物も含まれており、いずれも使用が認められている。
食品表示基準において、食品添加物の表示は化学的合成品と天然物に差を設けず原則として全て表示することとし、「食品表示基準について」(平成27 年3月 30 日消食表第 139 号消費者庁次長通知)でも、食品添加物の表示において「天然」又はこれに類する表現の使用を認めていない。なお、食品表示基準における人工及び合成の用語は、令和2年7月に削除されている。
化学調味料の用語は、かつて JAS 規格において使用されていたが、平成元年には削除されており、食品表示基準において使用されたことはない
人工、合成、化学及び天然の用語を用いた食品添加物の表示は適切とはいえず、こうした表示は、消費者がこれら用語に悪い又は良い印象を持っている場合、無添加あるいは不使用と共に用いることで、実際のものより優良又は有利であると誤認させるおそれがある。
例:「人工甘味料不使用」等、無添加あるいは不使用と共に、人工、合成、化学、天然等の用語を使用した表示
同一機能・類似機能を持つ原材料を使用した食品への表示(類型5)
<ガイドラインより抜粋>
この類型は、「〇〇無添加」、「〇〇不使用」と表示しながら、〇〇と同一機能、類似機能を有する原材料を使用している食品への表示をいう。
本類型のうち、表示禁止事項に該当するおそれが高い場合として以下のようなものが考えられる。
食品の特定の成分のみを抽出したこと等により、当該食品との科学的な同一性が失われていると考えられるもので代替することは、社会通念上食品であると考えられるもので代替することとは異なる。しかし、消費者が、食品添加物が含まれている食品を回避したいと考えている場合で、社会通念上食品であるとは考えられないもので代替されていると認知しない場合、当該商品は、食品添加物を使用した商品よりも優良又は有利であると誤認させるおそれがある(例1、2)。
不使用表示と共に同一機能、類似機能を有する原材料について明示しない場合、消費者が当該原材料の機能であると分からず、他の原材料による機能が作用していると読み取るおそれがあり、内容物を誤認させるおそれがある(例1、2)。
例1:原材料として、アミノ酸を含有する抽出物を使用した食品に、添加物としての調味料を使用していない旨を表示
例2:乳化作用を持つ原材料を高度に加工して使用した食品に、乳化剤を使用していない旨を表示
見直し期間
2年程度(〜令和6年3月末)
なお、「この期間に製造・販売等された加工食品が見直し前の表示で流通することはやむを得ないと考えるが、2年に満たない間においても、可能な限り速やかに見直しを行うことが望ましい」と明記されました。
原材料情報は、容器包装裏面の原材料欄から
ガイドライン案に対するパブリックコメントでは、食品添加物無添加の表示がなくなることで商品選択のための情報を知ることができなくなる、といった意見もみられましたが、商品の容器包装裏面の原材料欄では、これまでと変わらず今後も、食品添加物を含めた全ての原材料情報が記載され、消費者は、商品に何が使用されているのかを知ることができます。
うま味調味料は、食材にも豊富に含まれるうま味成分<グルタミン酸(=昆布のうま味) / イノシン酸(=鰹節のうま味) / グアニル酸(=干し椎茸のうま味)>の調味料で、国内のみならず、
国連関係機関(JECFA)、米国(FDA)等の国際的な機関からも安全性が認められています。
また、現在日本では食塩の過剰摂取が大きな栄養課題となっていますが、
食塩を減らして、うま味調味料を上手に活用すると、おいしく減塩できること
が分かっており、こうした栄養課題の解決に貢献しうる調味料でもあります。
そのようなうま味調味料ですが、一方で、「化学調味料不使用(無添加)」表示等の表現から、お客様が誤ったイメージを抱いてしまう場合があることを消費者意識調査の結果等から把握しており、当協会は問題意識を持っています。「化学調味料」は、かつて昭和30年代の公共放送の料理番組で商品名を用いることができないため、一般名称として名付けられ使われ始めた名称でしたが、
さとうきびなどの農産物を原料に発酵法によって作られる
ことや、料理にうま味を加えるという本来の特性を表現するものではなかったため、現在は「うま味調味料」に変更されています。化学調味料は食品表示基準などの行政上の用語としても使われておらず、定義も存在せず、不明確な言葉となっています。
当協会は、本ガイドラインが浸透し、正しい情報に基づいた消費者それぞれが求める食品選択が進むことと、うま味調味料も減塩に役立つ素材の一つとして有効に活用され、おいしく減塩された食品が増えることによって、日本人の重要な栄養課題である食塩の過剰摂取の改善に微力ながら貢献していける形となることを、願っています。
また、ガイドライン検討会での議論及びパブリックコメントを受けて、消費者庁より「本ガイドラインが、景品表示法による広告、宣伝の監視、指導に波及することが期待される」との見解が示されていることを踏まえ、当協会としては、加工食品の容器包装だけでなく広告等も含めて、今後の動向を注視して参ります。