うま味調味料ってなんだろう?
うま味調味料ってなんだろう?
グルタミン酸、イノシン酸、グアニル酸などの
うま味成分を水に溶けやすく使いやすくした調味料です。
料理にうま味を与えると同時に、素材の持ち味を引き立て、
全体の味を調和させる働きがあります。
うま味調味料の原料は
自然の農産物
うま味調味料は、世界各国、各地域でとれるさまざまな農産物を原料としています。アジアではさとうきび、キャッサバ、米国ではとうもろこし、南米ではさとうきびが主流。そのほか、一部の地域ではさとうだいこん、小麦なども使われています。
発酵させることで
うま味調味料は作られています
さとうきびを搾った糖蜜や、キャッサバ、とうもろこしなどのでんぷんから得た糖を用い、グルタミン酸ナトリウムは発酵法によってつくられています。
発酵法とは、微生物の働きを利用し、人間にとって有益なものを作りだす技術のこと。大豆から醤油や味噌、米から日本酒、麦からビール、牛乳からチーズが作られるのも発酵法によるものです。
イノシン酸ナトリウム、グアニル酸ナトリウムも、でんぷんを原料とした発酵法でつくられています。
世界中で認められている
グルタミン酸ナトリウムの安全性
「うま味調味料」の主成分であるグルタミン酸ナトリウ
ムは、食品衛生法により食品添加物の調味料に分類され、同法に定められた安全性試験をすべてクリアしています。
また日本国内だけでなく、国連( FAO /WH O )、米国(FDA)などの国際的な機関からも安全であると認められています。
イノシン酸ナトリウム、グアニル酸ナトリウムについても同様に安全性が確認されています。
日本では
1948年 | 厚生労働省が食品衛生法に基づき安全性を認める。 |
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海外では
1958年 | 米国食品医薬品局(FDA※1)が、一般に安全と認められる物質、GRAS物質※2として認定する。 |
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1979年 | 米国科学アカデミー(NAS※3)が安全性を認める。 |
1995年 | 米国食品医薬品局(FDA)が、が安全性を再評価し認める。 |
1987年 | 国連関係機関(JECFA※4)が安全性を認め、 以下のように述べている。 ① グルタミン酸ナトリウムおよびその他塩類の1日 の摂取許容量(ADI※5)は数値で制限しない。 ② 乳幼児にも安全である。 |
※1:米国食品医薬品局(Food and Drug Administration;FDA)とは、医薬品の規制や食の安全を責務とする、米国の保健福祉省配下の政府機関のこと。
※2:GRAS(Generally Recognized As Safe)物質とは、科学的に安全性を評価された物質や、長年の食経験に基づいて一般に安全であると認められた物質のこと。
※3:米国科学アカデミー(National Academy of Science;NAS)とは、米国における非営利科学学術団体のこと。
※4:JECFAとは、国連食糧農業機関(FAO)と世界保健機関(WHO)の合同食品添加物専門家委員会(FAO/WHO Joint Expert Committee on Food Additives;JECFA)のこと。国際的視点から、食品添加物の安全性評価を行っている。
※5:ADI(Acceptable Daily Intake)とは、食品に用いられる特定の物質についての、一生に渡って毎日摂取し続けても健康上の問題が生じないとされる一日あたりの量(一日摂取許容量)のこと。
- うま味調味料は体内にあるグルタミン酸と同じように代謝されます
- グルタミン酸は生物の体内にもともと存在しており、私たちが植物や動物のたんぱく質から毎日、摂っている物質です。うま味調味料のように工業的に生産されるグルタミン酸も、自然界に存在するグルタミン酸と成分はまったく同じ。体内でも同じように代謝されています。
- 食品衛生法の基準を満たしています
- うま味調味料であるグルタミン酸ナトリウム等は、食品衛生法では食品添加物の調味料に分類されています。同法に定められた安全性試験(発がん性や遺伝毒性など)結果に基づき厳重な審査を経て食品添加物に認定されています。
うま味調味料は、塩や砂糖と同じように長期保存をしても品質は変わりません。長期保存試験の結果に基づき、食品衛生法でも賞味期限を表示しなくてもよい調味料とされています。
- 食塩と比べて1/3のナトリウム量で減塩に役立ちます
- グルタミン酸ナトリウムに含まれるナトリウム量と高血圧症や腎疾患との関連が議論されることがあります。うま味調味料に含まれるナトリウムは食塩と比較して約1/3(1gあたり、0.12g)。実際に、うま味調味料を料理に用いるときの使用量で換算すると、食塩の1/20~1/30のナトリウム量です。また、うま味調味料を加えることで、減塩料理も物足りなさがなくおいしく食べられるというテスト結果が報告されています。このように減塩に、役立てることができるのです。
- 安全性が科学的な実験で確認されています
- 1968年にアメリカの科学者が中華料理店で食事をしたあとの顔のほて りや頭痛、首筋や肩にかけての灼熱感などの症状が中華料理店で多用 されるグルタミン酸ナトリウムによるものであると科学雑誌に発表したことが きっかけで、長い間、グルタミン酸ナトリウムは中華料理店症候群を起こす 原因物質として疑われてきました。このことについては多くの臨床試験や 疫学調査が行われてきており、これらの症状とグルタミン酸ナトリウムの摂取 とは何の因果関係もないことが科学的に示されています。国連のJECFAも これらの試験結果を慎重に審査しています。
アメリカでは1990年代にボストン、シカゴ、サンディエゴを拠点とする三つの医療機関を通じて大規模な臨床試験が実施されました。自称「中華料理店 症候群患者」と言われる130名を対象に二重盲検法※による厳密なグルタミン 酸ナトリウム投与試験が行われた結果、中華料理店症候群と呼ばれる各種 症状とグルタミン酸ナトリウムの因果関係は否定されています。この試験の 結果は2000年にアメリカの臨床医学雑誌にも発表されています。
※二重盲検法:
症状との相関関係が疑われる物質(ここではグルタミン酸ナトリウム)の入った試料と、症状とは関係のない物質(乳糖など)の試料を準備し、被験者に与える側も被験者もどちらの試料にグルタミン酸ナトリウムが入っているかはまったくわからない状態で心理的作用を除去して実施される。試料はグルタミン酸ナトリウムが入っていることが味で判別されることがないように工夫されている。
うま味調味料の種類
現在、生産されているうま味調味料は、下のように大きく4つに分類されます。1と2のタイプは、主に業務用として使用されています。3と4のタイプは「うま味の相乗効果」で「うま味」が強くなるように工夫されており、主に国内で家庭用として発売されています。
うま味調味料タイプ | 成分 | 使用用途 |
---|---|---|
1.アミノ酸系うま味調味料 | グルタミン酸ナトリウム | 業務用 |
2.核酸系うま味調味料 | イノシン酸ナトリウム グアニル酸ナトリウム リボヌクレオチドナトリウム |
|
3.低核酸系うま味調味料 | グルタミン酸ナトリウムに、リボヌクレオチドナトリウムを1~2.5%配合 | 家庭用 |
4.高核酸系うま味調味料 | グルタミン酸ナトリウムに、リボヌクレオチドナトリウムを6~12%配合 |
※「リボヌクレオチドナトリウム」はイノシン酸ナトリウム、グアニル酸ナトリウムの混合物です。
配合に「うま味」の相乗効果を利用
「うま味調味料」の配合には、合わせだしの知恵である「うま味」の相乗効果が活かされています。商品によって配合比率は異なりますが、こんぶだしのうま味成分であるグルタミン酸ナトリウムを主体に、かつおだしのうま味成分イノシン酸ナトリウムや、干ししいたけのうま味成分グアニル酸ナトリウムなどを配合して作られているため、少量でも料理に「うま味」を効かせ、おいしくすることができます。
「うま味調味料」は、100ヶ国以上の国や地域で、さまざまな食品や料理に使われ、世界中で愛されています。
各社主要商品
家庭用うま味調味料
味の素株式会社
-
味の素®
グルタミン酸ナトリウム 97.5%
イノシン酸ナトリウム 1.25%
グアニル酸ナトリウム 1.25% -
ハイミー®
グルタミン酸ナトリウム 92%
イノシン酸ナトリウム 4%
グアニル酸ナトリウム 4%
三菱商事ライフサイエンス株式会社
-
いの一番®
グルタミン酸ナトリウム
92%
リボヌクレオチドナトリウム8%
業務用うま味調味料
味の素株式会社
-
味の素®Ⓢ
L-グルタミン酸ナトリウム99%
5’-リボヌクレオタイドナトリウム1% -
ハイミー®
L-グルタミン酸ナトリウム92%
5’-リボヌクレオタイドナトリウム8% -
味プラス®
L-グルタミン酸ナトリウム96.9%
5’-リボヌクレオタイドナトリウム2.1%
クエン酸ナトリウム1.0%
三菱商事ライフサイエンス株式会社
-
ミック〈1㎏〉
L-グルタミン酸ナトリウム 89.8%
5’リボヌクレオチド二ナトリウム 8.0%
L-アスパラギン酸ナトリウム 2.0%
コハク酸二ナトリウム -
キーパー〈1㎏〉
L-グルタミン酸ナトリウム 98%
5’リボヌクレオチド二ナトリウム 2% -
もう一番®️〈1㎏〉
L-グルタミン酸ナトリウム 99%
5’リボヌクレオチド二ナトリウム 1% -
グルエースN〈1㎏〉
L-グルタミン酸ナトリウム 99%
5’リボヌクレオチド二ナトリウム 1% -
味一番1.5〈1㎏〉
L-グルタミン酸ナトリウム 98.5%
5’リボヌクレオチド二ナトリウム 1.5%
ヤマサ醤油株式会社
-
フレーブ®(業務用)
L-グルタミン酸ナトリウム 91.50%
5´-イノシン酸ナトリウム 4.25%
5´-グアニル酸ナトリウム 4.25% -
日東味の精®
L-グルタミン酸ナトリウム 100%
株式会社新進
-
ミラクル®〈20kg〉
L-グルタミン酸ナトリウム99%以上