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郷土料理には塩分が多くなりがちであるという側面がありますが、うま味調味料を加えることで美味しさを維持しつつ、減塩することができました。また、うま味調味料を加えることによって食感向上効果がみられ、短い煮込み時間でも、具材をやわらかく、程よい食感に仕上げることが出来るました。よって、若者や共働き世帯などの、時短したいと言うニーズに沿うことができると考えられます。さらに、子ども達の魚嫌い、魚離れが懸念される昨今、いりこだし特有の魚臭ささから、いりこ出汁を使わずにだんご汁を作る家庭もあります。しかし、そこでうま味調味料を加えると、臭みを緩和し、だしのうま味を強めることで塩味と汁のまろやかさが増し、子ども達が親しみやすい味に仕上がります。このことから、うま味調味料は日本の魚離れを解消するツールの一つになり得るとも言えます。
最後に、大分の郷土料理として有名な「だんご汁」ですが、隣接する各県でも類似した料理が食されており、九州で愛される郷土料理です。このうま味調味料による「おいしくて気軽な減塩」が全国に広まって、日本の健康と消費を支える料理となって欲しいと思います。
- たんぱく質や糖質の他、現代の食事で取り入れにくくなってきている根菜や乾物類も使用した、栄養バランスの良い料理です。うま味調味料の活用によって、「塩分が多い」という課題を上手にクリアし、新世代に伝えたい要素の多い、より魅力的な料理になりました。
- いりこだしのうま味成分イノシン酸と、うま味調味料のうま味成分グルタミン酸とのうま味の相乗効果を利用して、汁のうま味をアップさせ、まとまりのある深い味わいにすることに成功しています。
- いりこ特有の魚くささをうま味調味料の使用により緩和し、魚嫌いのこどもや、若い世代でも食べやすい味わいになりました。
- 食材を変えずにだんごの作り方などをアレンジし、レシピを簡素化、時短化しています。思い切って、だんごに塩を加えずに作る方法に変更した発想が、とても新鮮です。
- 次世代に引き継ぐことを意識し、こどもたちが楽しんで調理に参加できるよう、だんごを手で伸ばして作る新たな方法を提案するなど、作る楽しみに着目している点が評価できます。
- 伝統的なだんご汁ではだんごに塩を加えますが、うま味調味料を活用した減塩だんご汁では、だんごに塩を加えず、汁に加える味噌も減らして汁にうま味調味料を加えました。その結果、だんごの食感を変えることなく、さらにだんごへの味のしみ込みがよくなり、味がまろやかにまとまりました。
- 汁にうま味調味料を加えて煮ることにより、素材そのものに味がしみ込みおいしく仕上がりました。だんご、里芋、ごぼうにもしっかりと味がしみ込み、さらには里芋とごぼうのえぐ味や硬さもやわらげることができました。
- 伝統的なだんご汁は、だんごに練り込む塩と汁に加える味噌によって、塩分が非常に高くなります。最初のひと口はおいしいと感じますが、食べ続けることにより、味の濃さによって飽きがくることもあります。だんごに塩を加えずに味噌を減らしても、うま味調味料を汁に加えることによって、味の物足りなさを感じることなく、最後まで飽きずにおいしくいただくことができると思います。
- いりこだしは、独特の魚くささとえぐ味があるため、苦手に思う人が多いと思います。そこで、いりこの下処理を含めて丁寧にだし取りを行い、さらにうま味調味料を使用することによって、魚くささやえぐ味がやわらぎ、まろやかになりました。若い世代や子どもでも食べやすい味に仕上がったと思います。
- 汁にうま味調味料を加えて煮ることによって、だんごや里芋がより柔らかくなりました。このことから、うま味調味料の活用は、煮込み時間の短縮に繋がる可能性があり、共働き世帯や、料理離れがみられる若者の時短ニーズにも合うと考えます。
A 伝統レシピ |
B 減塩レシピ |
C <うま味調味料活用>減塩レシピ |
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材料名 | 配合 | 塩分 | 配合 | 塩分 | 配合 | 塩分 |
小麦粉 | 15g | - | 15g | - | 15g | - |
塩 | 0.5g | 0.5g | - | - | - | - |
水 (だんごをこねながら 硬さをみて量を調節) |
7~10g | - | 7~10g | - | 7~10g | - |
里芋 | 30g | - | 30g | - | 30g | - |
ごぼう | 20g | - | 20g | - | 20g | - |
にんじん | 20g | 0.02g | 20g | 0.02g | 20g | 0.02g |
大根 | 30g | - | 30g | - | 30g | - |
干ししいたけ (水戻し) |
10g | - | 10g | - | 10g | - |
豚肉 | 30g | 0.03g | 30g | 0.03g | 30g | 0.03g |
水 | 250g | - | 250g | - | 250g | - |
いりこ (頭と内臓を除いたもの) |
5g | 0.25g | 5g | 0.25g | 5g | 0.25g |
麦みそ | 18g | 1.85g | 12g | 1.24g | 12g | 1.24g |
青ねぎ | 1g | - | 1g | - | 1g | - |
かぼす | 10g | - | 10g | - | 10g | - |
うま味調味料 | - | - | - | - | 0.3g | 0.09g |
TOTAL塩分 | - | 2.65g | - | 1.54g | - | 1.63g |
減塩率 | - | - | - | 42% | - | 38% |
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いりこは頭を取り、身を開いて内臓を取り除き、水に30分浸けてから火にかけ、煮立たないように注意しながら約10分煮る。
布巾でこし、いりこだしとする。 -
小麦粉に水を少しずつ加え、手に粉がつかなくなるまでよくこねる。加える水の量は耳たぶぐらいの硬さを目安とする。
だんごを親指大に小分けにし、ぬれ布巾をかけて常温で30~60分寝かせる。
(A伝統レシピの場合は、小麦粉に塩を加えてこねる。) -
里芋、豚肉は一口大に切り、大根、人参はいちょう切り、ごぼうはささがきにして水にさらし、ざるに上げる。
干ししいたけは水でもどし、石づきを除いて千切りにする。 -
いりこだしを火にかけ、里芋、ごぼう、にんじん、大根、しいたけ、豚肉の順に加え、火が通るまで煮る。
煮る際に、いりこだしにうま味調味料を加える。 - 2のだんごを10~15㎝に伸ばして4の鍋に加え火が通るまで煮、味噌を溶き入れて火を止める。
- お椀に盛り、小ねぎの小口切りをのせる。別皿にくし型に切ったかぼすを添える。
だんご汁は県内各地において、昔から日常食として親しまれてきました。だんごの量を多くすれば主食にもなり、少なくすれば汁物にもなります。だんご汁は、調理工程が複雑ではなく、誰にでも作りやすい一品です。さらに使用する食材に特別なものはなく、大分県特産の干ししいたけ・いりこ・かぼすなど、その土地で手に入りやすい食材を使用するため、地産地消にも貢献できます。 また、親子で一緒に行える調理工程があり、子どもたちの食への興味・関心を高めることもでき、郷土料理を次世代へ伝えられる、食育にも繋がる一品だと思います。