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和食、郷土料理は、長年大切に受け継がれこれからも伝承していきたい料理です。しかし、2015年度版日本人の食事摂取基準の食塩摂取量の目標量と平成29年度国民健康・栄養調査での食塩摂取量を比較すると食塩を過剰に摂取している状況です。
日々減塩の工夫が必要な方々と接する機会が多いトウキョウメディカルTMY栄養と調理チームの私達は、いかに時代に合わせ、おいしく健やかに郷土料理を伝えていくことができるかを管理栄養士、理学療法士、薬剤師の視点で考えました。そしてこれからも食事全般に対して減塩の追求に取り組もうと思っています。
うま味調味料を料理に加え活用することに関して見出せたことは、伝えたい味を保ちながら減塩ができるということであり、うま味調味料は生活習慣病の予防、悪化防止など減塩の手助けとなる調味料であると感じます。
- 最近では家庭で作る機会も少なくなり、また、塩分を控えようとすると、献立に取り入れにくくなってしまう漬物を、おいしく減塩することによって、次世代に継承しようとした点が評価できます。
- 塩に対し10%のうま味調味料を加えるという、シンプルな工夫ながら、うま味とまろやかさを引き出し、おいしさを保ちつつ50%という高い割合の減塩に成功しています。他の漬物への応用の可能性が考えられます。
- 減塩に配慮した漬物が手軽に作れることが伝わる、分かりやすく正確なレシピがとても良いです。塩分を気にする人や、漬物を作ったことがない人への、調理と喫食の機会の広がりが期待できます。
- 麹菌や乳酸菌を含む漬物は、腸活ブームの今、現代人にも受け入れられやすく、また、甘味のある味わいのべったら漬けは、若者にも好まれる可能性があります。
- 試行錯誤してレシピを検討し、繰り返し漬け込みを行い、まさに「実験」に取組んだ努力が素晴らしいです。
- べったら漬けの甘味を生かし、味のバランスが崩れないよう、各調味料、昆布、赤唐辛子の量などを検討した結果、塩を半分に減らして、塩の10%のうま味調味料を加え、その他の配合は変えないレシピに落ち着きました。
- 味がよくしみ込むように、大根に飾り包丁を入れ、塩とうま味調味料をすり込んで2~3日下漬けした後、こうじ床で5~6日漬けました。
- 単に甘味があるだけのべったら漬けではなく、ややうま味が感じられ、こうじの発酵風味もある、甘味と塩味、酸味のバランスがとれた味に仕上がりました。
- 現代は、外食や中食利用もいつ何時でも可能であり、濃い味に慣れてしまっているように感じます。そのため、単に味が薄いだけの減塩ではなく、うま味調味料の力を借りて、うま味を加え、減塩していることを感じさせないご飯に合う味を目指しました。
- うま味調味料を活用して減塩することで、おいしさを変えず、もしくは更に味わいを高め、炊き立ての白いご飯に合う味に仕上げることができました。
A 伝統レシピ |
B 減塩レシピ |
C <うま味調味料活用> 減塩レシピ |
C <うま味調味料活用> 減塩レシピ 作りやすい分量 (大根1本分) |
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材料名 | 配合 | 塩分 | 配合 | 塩分 | 配合 | 塩分 | 配合 |
大根 | 63g | - | 63g | - | 63g | - | 1kg |
食塩 | 2g | 2 | 1g | 1 | 1g | 1 | 17g |
乾燥こうじ | 4g | - | 4g | - | 4g | - | 67g |
砂糖 | 2g | - | 2g | - | 2g | - | 37g |
みりん | 2g | - | 2g | - | 2g | - | 38g |
昆布 | 0.2g | - | 0.2g | - | 0.2g | - | 3g(6㎝の長さ) |
赤とうがらし | 0.01g | - | 0.01g | - | 0.01g | - | 2本 |
うま味調味料 | - | - | - | - | 0.1g | 0.03g | 2g |
TOTAL塩分 | - | 2g | - | 1g | - | 1.03g | - |
減塩率 | - | - | - | 50% | - | 49% | - |
- 大根は皮をむき、縦半分に切り、味がしみこむよう、縦に細かく軽く飾り包丁を入れる。
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1の大根に食塩・うま味調味料をすり込み、呼び水として、水67mlを入れて下漬けをする。
5㎏の重石をして、1回/日上下入れ替えながら、2~3日冷暗所で漬ける。 -
フタのできる容器に、乾燥こうじと60℃のお湯83mlを加えてフタをし、大きめのタオルに包んで1日発酵させる。
(こうじが発酵してくると甘い香りがします。) - 3のこうじに砂糖、みりん加えて混ぜ、こうじ床を完成させる。
- 2の下漬けをした大根の水気をふきとり、こうじ床→大根→こうじ床の順に容器に入れる。
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5に1センチ幅に切った昆布と赤とうがらしを散らす。皿で押しぶたをし、冷暗所で5~6日漬ける。
漬け上がった後は、こうじ床を取り除き、保存容器に移して冷蔵庫で保存し、早めに食べきる。
東京の郷土料理の一つであるべったら漬けは、江戸時代から長く親しまれている漬物です。塩味の強い漬物ではなく、甘味のある味が特徴です。東京では、2020年にオリンピックが開催されますが、東京の郷土料理の一つとして次世代や他の国の方にも伝えていきたいです