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- 角寿司(長崎県)
テーマ
郷土料理、減塩
2024年02月19日 UP
食塩相当量(1人分)
1.1g 減塩率21%(対伝統レシピ)
うま味調味料ポイント!
• ブリの下味にうま味調味料を振り、”うま味の相乗効果” で、ブリのうま味をさらに引き出しました。
• 酢にうま味調味料を加え、まろやかな酸味にしました。
• 干し椎茸の戻し汁にうま味調味料を加えることで、”うま味の相乗効果” で、うま味をより高めました。
これらの工夫により、伝統レシピをよりおいしく減塩することができました。
◉第8回「うま味調味料活用! 郷土料理コンテスト」2023 準優勝
材料4人分
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ぶり(アラ)
264g
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塩(ぶりのアラ用)
20g
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低核酸系うま味調味料(ぶりのアラ用)
4ふり(0.4g)
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刺身用ぶり(飾り用)
40g
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低核酸系うま味調味料(刺身用ぶりの下味用)
4ふり(0.4g)
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酢
大さじ1・2/3
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砂糖
小さじ1・1/3
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しょうゆ(うすくち)
小さじ1/6弱
〈すし酢〉
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酢
大さじ5
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砂糖
大さじ4・1/2
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低核酸系うま味調味料
4ふり(0.4g)
〈中の具〉
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ごぼう
20g
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にんじん
6.4g
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干ししいたけ(水で戻したもの)
13.2g
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かまぼこ
16g
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しょうゆ(うすくち)
小さじ1弱
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砂糖
小さじ2強
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低核酸系うま味調味料
軽く1ふり(0.08g)
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酒
大さじ1・1/3
〈酢飯〉
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米
2合
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水
2カップ弱
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低核酸系うま味調味料
4ふり(0.4g)
〈錦糸卵〉
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卵
大1個(66g)
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サラダ油
小さじ1弱
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低核酸系うま味調味料
2ふり(0.2g)
〈飾り〉
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桜でんぶ
4g
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山椒の葉
4枚
作り方
具用と酢飯用のぶりのアラの下準備
ぶりのアラに塩とうま味調味料をふり、1時間ほどおいた後、表面の塩を水で洗い流す。
水洗いしたブリのアラの水気を拭き取り、グリルでうっすら焼き色がつく程度に焼き (約10分)、分量の2/3は粗くほぐし身を取り分ける。残り1/3は③の酢飯用の酢に使用する。
※酢飯用の酢に使用する1/3のアラは、背骨周辺の部分を使用する。飾り用のぶりのなますを作る
刺身用のぶりを3〜5mmほどの薄さに切り、うま味調味料をふり30分ほどおく。
ぶりから水分が出てきたら、水気を拭き取り、15~20分ほど酢に浸す。ぶりの身が白くなったら、ぶりの身を漬け込んでいた酢に砂糖と薄口醤油を加え混ぜ合わせ、さらに30分ほどおき味をなじませる。ぶりの身を取り出し、汁気を拭き取る。
※切り身を取り除いた酢は、調理手順⑦の型を取る際に押し型につけながら行うと酢飯がきれいに押し出すことが出来る。すし酢を作る
材料全てを鍋に入れ火にかけ沸騰したら火からおろし、①で残しておいた1/3の焼いたぶりのアラを入れ自然に冷めるまでおき、アラを取り除く(絞らない)。
※時間があるときは、アラをひと晩浸けておくとよりおいしくなる。具材を作る
ごぼうと人参はタテ十字に切りこみを入れ、厚さ1~2mmのごく薄い長さ1cmほどの細かいささがきにする。水で浸した干し椎茸は水気を絞り5mmほどのみじん切りにする。かまぼこも椎茸と同様の大きさに切る。
切った材料と椎茸の戻し汁を鍋に入れ火にかけ、さっと煮、ごぼうに火が通ったら、①でほぐしたぶりのアラの身と調味料を加え、軽く混ぜ5分ほど煮詰め火からおろして味をなじませる。
※煮る際のポイント:アラの身を崩し過ぎないことと、ごぼうの食感が残るよう短時間で煮ること、煮上がりは汁はほぼない状態になるが煮詰め過ぎず具はしっとりした状態で火を止めること。小さめの鍋を用いると良い。酢飯を作る
米に水とうま味調味料を加え炊飯する。炊きあがった熱々のごはんをすし桶に移し、③のすし酢を全体に加え、うちわで扇ぎながらしゃもじで切るようによく混ぜる。ぬれ布巾をかけ粗熱が取れるまで置く。錦糸卵を作る
材料を全てボウルに入れて混ぜ合わせ、油を引いたフライパンで薄く焼き、せん切りにする。型を取る
酢飯を手にとり、具を真ん中に入れ、具がはみ出さないように丸める。
7cm角の押し型に②のすし酢をつけ、丸めたすし飯を入れて軽く押し、酢飯のうえに②のぶりのなますをのせ、さらに押して形を整えます。型から外した時に崩れないように体重をかけ強く押します。
型から抜き、錦糸卵と桜でんぶと山椒の葉をのせて完成。
※型を取るコツ:押し型の内側にすし酢をつけて、すし飯を入れてフタをし体重をかけて押すとこと。切り分ける際には包丁もすし酢で湿らせてから切ること。
※調理工程③ですし酢を作る際に使用し取り出したアラはしめ鯖のような味わいになるので、別途、そのままでも、少しお醤油をつけてもおいしく食べられる。【伝統レシピの調理手順】
今回は入手しやすい7cm角の押し型を使用したが、伝統的な「角寿司」はひと回り大きい型を用いる。
長崎の郷土料理「角寿司」の特徴 (応募レポートより)
●地域
長崎県松浦市鷹島町
●食べる機会
主にお祝いの席で振る舞われます。結婚式、初節句、出産祝い、新築祝い、長寿のお祝などの他、年に一回秋に開催される「おくんち祭り」などで出てくる郷土料理です。また、漁師町のため、漁船の就航式や定置網に使用する網の完成時など漁業にまつわるお祝い事にも振る舞われます。
●由来
長崎県は離島の数では全国一で、広大な海域により、漁場環境にも恵まれ様々な魚介類が豊富です。そのため県内各地で魚介類を用いた郷土料理が数多く存在し、そのような中で地域ごとに味も形も異なる「お寿司」が多く伝わっています。中でも有名なのが、長崎県の中央に位置する「大村寿司」です。大村寿司は、室町時代、戦に敗れ領地を奪われた大村純伊が反攻して領地を奪還し、帰還した際に領民らがそれを祝うために、押し寿司を作り供したのが起源とされています。大勢の兵士に食べてもらうための食器が足りず、浅い木箱(もろぶた)に大量の炊き立ての米飯を広げ、具を二重に乗せた押し寿司を急ごしらえし、兵士らはそれを脇差し(一般的な日本刀より短い日本刀)で四角に切って食べたと言われています。
一方、長崎県本土の北部に位置する松浦地方でも「押し寿司」があります。由来は大村寿司と言われていますが、松や梅などの形をした寿司型を用いた押し寿司であり、大村寿司の華やかな上飾りとは異なり清楚な上飾りとなっています。
私たちの生まれ育った鷹島には、その「大村寿司」と北松浦地方の「押し寿司」が融合したと思われる「角寿司」があります。形は「大村寿司」と同様の真四角で、上飾りは清楚でありながらも華やかさがあります。
他の地域では様々な種類の魚を用いるのに対し、鷹島の「角寿司」で使用されるのはブリのみで、ブリの身、アラなど、ブリ1本を使用しています。また、「角寿司」の具は、ごぼう、人参などの根菜類、また干ししいたけを使用し、栄養面においても優れた寿司となっています。
鷹島は、四方を海に囲まれた離島(平成21年に橋が架かかるまでフェリーで渡ってました)であり、漁師町です。日頃より、海の安全・豊漁を祈って、伝統的なゲン担ぎを大切にしています。鷹島の「角寿司」は「大村寿司」の伝統を継承しつつ、島の人々の豊漁や安全を強く願う思いを反映していると言えます。
地元の人たちが歓待の真心を込めてサケとはらこを素材とするはらこ飯を献上したそうです。政宗公はあまりの美味しさに感嘆したと伝えられています。以来、はらこ飯は亘理町の郷土料理として定着しています。秋の風物詩として長年愛され続け、見映えの華やかさからも祝いの席やハレの日にも好まれるようになりました。
●食材
ブリのおいしさを余すことなく活かした料理
●参考資料
・月出 雅夫、井上 寿子、大坪藤代、他(昭和60年4月15日)「日本の食生活全集42 聞き書 長崎の食事」社団法人 農山漁村文化協会(p36,145-146,159-160)
・農林水産省 大村寿司/うちの郷土料理(2023年10月9日時点)