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郷土愛賞

のこのこ 長野県立大学 健康発達学部 食健康学科3・4年

根曲がり竹のみそ汁(長野県)

根曲がり竹のみそ汁(長野県)

受賞者からのコメント

伝えていきたい
根曲がり竹のみそ汁

根曲がり竹のみそ汁を次世代に伝えたい理由は、地元の人々に愛されている郷土料理であり、多雪地域で収穫される伝統食材の根曲がり竹をおいしく楽しむレシピだからです。根曲がり竹はあく抜きが不要で、鯖の水煮缶と信州味噌と組み合わせることで手軽に作ることができます。根曲がり竹のみそ汁は、不足しがちな良質のたんぱく質やカルシウム、DHAやEPAと食物繊維などを摂取でき、栄養面でも優れているのが魅力です。他の食材を入れてもおいしく食べることができます。根曲がり竹のみそ汁を季節の郷土料理としておいしく減塩して継承することで、地元への愛着を育て、地域の食文化や特産品を守ることができると考えました。

郷土料理の伝承と
うま味調味料の可能性

長野で愛される根曲がり竹のみそ汁の伝承には、減塩が重要です。伝統的な料理は、濃い味つけのものが多い傾向にあり、私たちが取り組んだ根曲がり竹のみそ汁も伝統的レシピには一人当たり2.2gの食塩が含まれていました。生活習慣病や動脈硬化予防の一環として、食塩摂取料を減らすことは健康を維持・増進するために重要です。うま味の相乗効果を利用して、鯖の水煮缶にグルタミン酸ナトリウムを多く含むうま味調味料を使用し、リボヌクレオチドナトリウムを含む高核酸系うま味調味料を汁に加えて、減塩効果が高まるように使い分けを行いました。その結果、うま味調味料を活用することで味噌の分量を半分に削減し、食塩を43%減少させるおいしいレシピを提案することができました。栄養面でも優れ、食塩量が少なく、そして何よりもおいしい伝統料理であるならば自信をもって次世代に伝えることができます。うま味調味料を活用した減塩味噌汁のアイデアは、他の汁物の減塩のアイデアとしても活用でき、伝統を守りながら健康寿命の延伸に貢献できると考えます。

審査員総評

  • 伝承性
  • 新世代へのフィット感
  • うま味調味料の活用度
  • 受賞作品の特徴

受賞チームの味覚評価結果紹介

伝統的なレシピと減塩レシピ(うま味調味料活用)を比較すると減塩率72%伝統的なレシピと減塩レシピ(うま味調味料活用)を比較すると減塩率72%

うま味調味料の活用ポイント

おいしく減塩するために
工夫したところ

  • 鯖缶にうま味調味料を混ぜる
    核酸系うま味物質のイノシン酸を多く含む鯖の水煮にグルタミン酸ナトリウムの多く含まれる低核酸系うま味調味料(「味の素」)を加え、「うま味の相乗効果」でみそを半量に減らしてもおいしく食べることができた。
  • 汁に高核酸系うま味調味料を加える
    「味の素」、「ハイミー」、「いの一番」を加えた根曲がり竹の味噌汁3種類の官能評価を行ったところ、「いの一番」の総合評価が最も高く今回のレシピとの相性が良かったので、「いの一番」を最終レシピで使用した。

次世代に伝えていくために
工夫したところ

  • みそ汁は食塩相当量が多いためうま味調味料を使い、みそを半量に減らした。一般のみそ汁には多くの食塩が含まれており、1杯で約2g摂取することになる。1日の食塩摂取量の基準は、厚生労働省の「日本人の食事摂取基準2020年版」によると、男性7.5g未満、女性6.5g未満である。生活習慣病予防のため、適量のうま味調味料を加え、みそを減らすことで減塩しても、満足感を与えるみそ汁を伝えたい。

うま味調味料の活用以外のポイント

おいしく減塩するために
工夫したところ

  • 根曲がり竹を薄く切る
    厚いと味が染みず、えぐ味を強く感じた。薄い方が軟らかく煮えやすい。
  • 先に根曲がり竹を煮る
    玉ねぎのうま味が汁に逃げてしまうことを防ぐ。
  • 日本酒を入れる
    鯖の生臭みを和らげることができる。
  • おいしくだしをとる。
    塩味が控えめでもうま味を活用することでおいしく食べることができる。

次世代に伝えていくために
工夫したところ

  • 食材が少ない
    材料をそろえる手間がかからないため、気軽に作ってもらえると考えた。
  • 食材がいつでも手に入る
    本来の根曲がり竹の旬は春だが、買い置きができる水煮を用いることで季節を問わずにいつでも作ることができる。
  • おいしい
    おいしいと感じるレシピでなくては次世代に伝わらないと考えた。

材料

※うま味調味料は、低核酸系うま味調味料と、高核酸系うま味調味料とを使い分けた。

作り方

  1. だしをとる。
    (沸騰直前のお湯にかつお節を入れ、ひと煮たちしたら火を止め、沈むまで待ち、さらし等で濾す)
  2. 根曲がり竹の水煮を5㎜程度に薄く斜めに切る。
  3. 玉ねぎを1.5cm幅、長さ2㎝程度に切る。
  4. ①のだしに②の根曲がり竹を入れて、軟らかくなるまで煮る。
  5. ④に③の玉ねぎを加え、玉ねぎが透き通ってくるまで煮る。
  6. 鯖(水煮缶)に低核酸系うま味調味料をふり、よく混ぜる。
  7. ⑥の鯖(水煮缶)と酒を⑤に加えてひと煮立ちさせる。
  8. ⑦にみそを加えてひと煮立ちさせたら火を止める。
  9. 高核酸系うま味調味料を⑧に加え、混ぜ合わせる。

〈伝統レシピの調理手順〉
⑦で日本酒を使用しない。

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