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郷土料理コンテスト結果発表

後援:日本栄養士会・農林水産省

準優勝

西南女学院大学 保健福祉学部 栄養学科 近江ゼミ

審査員総評審査員総評

  • もともと煮しめを作る際に残った野菜のくずを有効活用して作られた料理で、野菜の切れ端も無駄なく使い、野菜摂取量の拡大にもつながる郷土料理として新世代へ伝える価値があります。
  • うま味調味料の活用により、野菜の甘味・うま味・食感が際立ち、ごぼうのえぐ味や香りが緩和され、まろやかでおいしい減塩を実現しています。
  • 味がまろやかになり煮込み感が強まることによって、時短(煮込み時間の短縮)にも繋がる点が評価できます。
  • 郷土料理としての「だぶ」の特徴を生かしつつ、うま味調味料の活用によって、よりおいしく、新世代の食卓に合うレシピを提案しています。

3通りの調味で検証3通りの調味で検証

うま味調味料活用のポイントうま味調味料活用のポイント

  • 仕上げの調味の際にうま味調味料を使用し、野菜の味を活かすことを考えました。
  • 煮込み感にも着目して評価し、うま味調味料の使用によって、煮込み時間を短縮することを考えました。

【おいしい減塩のための効果】

  • 減塩レシピにうま味調味料を加えることにより、煮込み時間を短縮することができ、野菜がくたくたにならず、野菜本来の食感を残すことができました。
  • 素材の味が際立ち、コクもプラスされ、減塩レシピよりも野菜それぞれの味を強く感じることができました。うま味調味料を加えることによって「野菜をしっかり食べる一品」として仕上がったと思います。

【次世代への伝承に役立つ効果】

  • うま味調味料を活用することで、煮込み時間を短縮し、野菜の食感を活かすだけでなく、調理時間を短縮することができました。また、「だぶ」は鍋一つで作ることのできる料理でもあるため、誰でもより簡単に作ることができるようになったと思います。
  • 減塩レシピにうま味調味料を加えることにより、ごぼうのえぐ味や香りが抑えられ、まろやかに仕上がりました。伝統的なレシピと減塩レシピではごぼう独特の香りが強すぎる傾向にありましたが、うま味調味料を加えることで、マイルドになったと思います。

その他の工夫その他の工夫

  • 伝統的なレシピではだしで野菜を煮て調味しますが、減塩レシピではまず野菜をごま油で炒め、油のコクとごまの風味をプラスすることにより、調味の食塩を減らしました。また油で炒めることによって鶏肉と野菜のうま味がアップし、仕上がりの味がまとまりました。
  • 食べやすさを重視し、見た目にもきれいに仕上げるため、食材はできるだけ同じ大きさで小さく切りそろえました。

材料(一人分)材料(一人分)

  • 材料名
    鶏もも肉
    れんこん
    ごぼう
    しいたけ
    にんじん
    こんにゃく
    ごま油
    だし
    (昆布・かつお)
    薄口しょうゆ
    うま味調味料
    片栗粉

    (片栗粉
    水溶き用)
    小ねぎの小口切り
    しょうがの
    せん切り
    TOTAL 塩分
    減塩率
  • 【A伝統レシピ】 【B 減塩レシピ】 【C 減塩レシピ+うま味調味料】
    配合 塩分 配合 塩分 配合 塩分
    25g 0.03g 25g 0.03g 25g 0.03g
    20g 20g 20g
    20g 20g 20g
    10g 10g 10g
    10g 0.01g 10g 0.01g 10g 0.01g
    10g 10g 10g
    2g 2g
    180g 0.18g 180g 0.18g 180g 0.18g
    5g 0.92g 5g 0.92g 5g 0.92g
    0.5g 0.5g 0.2g 0.2g 0.2g 0.2g
    0.25g(2〜3振り) 0.08g
    2g 2g 2g
    50g 50g 50g
    2g 2g 2g
    3g 3g 3g
    1.64g 1.34g 1.42g
    18% 13%

作り方 ※うま味調味料を使った場合のCの作り方作り方 ※うま味調味料を使った場合のCの作り方

  1. れんこんは1cmのさいの目切り、しいたけは長さを半分に切って薄切り、にんじんは0.5cm厚さのいちょう切り、ごぼうはささがき、こんにゃくは1cm幅の短冊切りにする。鶏肉は一口大に切る。
  2. ごま油で鶏肉、れんこん、にんじん、こんにゃく、ごぼう、しいたけの順に炒め、だし汁を加えて煮る。(A伝統レシピの場合は、炒めずに鍋にだし汁を入れ、具材を煮る。)
  3. 具材に火が通り、柔らかくなったら火を止め、薄口しょうゆ、塩を加え、味を確認してから最後にうま味調味料を加える。
  4. 水溶き片栗粉を加え、とろみをつける。
  5. お椀に盛り付け、小ねぎの小口切りとしょうがのせん切りを乗せる。

応募者からのコメント応募者からのコメント

伝えていきたい「だぶ」伝えていきたい「だぶ」

▲ 西南女学院大学 保健福祉学部 栄養学科 近江ゼミの皆さん

「だぶ」は福岡県宗像地区の小・中学校ではよく給食に出され、地元では大変馴染み深い料理です。元々は煮しめなどを作った時の切れ端を活用した賄い料理ですが、御祝いや憂いの際の郷土料理でもあります。

子どもの野菜嫌いの理由として、見た目や味が挙げられますが、「だぶ」は季節の野菜を多く使っているものの、小さく切った具材と野菜のうま味でまろやかな汁物に仕上がっているため、美味しくいただけます。

「だぶ」の普及は野菜嫌いの克服だけでなく、野菜摂取量の向上にも役立ち、次世代の健康を守ることに繫がると思います。

郷土料理の伝承とうま味調味料の展望郷土料理の伝承とうま味調味料の展望

今回応募した「だぶ」を含め、汁物を美味しく仕上げるためには、どうしても食塩摂取量が高くなってしまいます。11名の官能評価の結果においても、調味料を減らすだけの減塩の場合、野菜の甘味を感じることができても、食事としての美味しさ、満足感が得られないという結果になりました。「美味しくない」「口に合わない」等の理由により、減塩の実施・継続が難しくなり、ついつい濃い味になってしまうと思います。

高血圧・生活習慣病予防等、健康増進の観点から、減塩の習慣を身につけることは大切です。汁物は調味料を多く使いがちですが、調味料を減らし、うま味調味料を加えることにより、減塩による物足りなさを感じることなく、食材のうま味を活かすことができます。実際、「だぶ」の調味の仕上げに、うま味調味料を加えるだけで、味の深み・厚みが増し、コクがプラスされ、味がまとまりました。

「だぶ」はたくさんの野菜を一度に摂取できる料理です。野菜嫌いの克服や野菜摂取量向上のために、限られた地区のみで受け継がれるのではなく、是非、広く召し上がっていただきたい一品です。