最新のコンテスト【企画概要】ページは下記よりご覧ください。
郷土愛賞
兵庫栄養調理製菓専門学校 栄養士科 ばち汁’S(ばちじるず)
- 手延べそうめん製造時の副産物「ばち」を使用した、そうめんの産地ならではの郷土料理であり、郷土の食材を無駄なく使う大切さが伝わります。
- うま味調味料の活用により、動物性食品を使っていないことによる味わいの物足りなさを補い、まろやかさを出すことができた点が評価できます。
- 伝統的な作り方で地産地消を意識した点に郷土愛を感じました。
- 動物性たんぱく質の入っていない料理なので、仕上げの調味の際にうま味調味料を加え、味に深みを出すことを考えました。
【おいしい減塩のための効果】
- 普通の減塩では出汁のうま味が弱く、醤油が少ない分野菜の味は強く感じたが、「全体の味の一体感」や「食べやすさ」、「そうめんばちとの相性」はいまひとつ好ましくないという結果になりました。しかし0.2gのうま味調味料を入れる事により、全ての評価項目で伝統的なレシピ、減塩レシピを上回る結果となりました。中でも「塩味のまろやかさ」「出汁のうま味の強さ」「全体の味の一体感」の3項目で伝統的なレシピの評価平均を大きく上回りました。この事から伝統レシピよりも、塩角が立たず、出汁が効いて、味に一体感のある美味しい減塩が出来たと言えます。減塩レシピにわずか0.2gのうま味調味料を入れるだけで、ここまで評価が変わった事にとても驚きました。
- 単純に減塩しただけでは動物性のたんぱく質が入っていないのであまり味に深みがありませんでしたが、うま味調味料を加える事により味に深みがでたと思います。
- オリジナリティを加えず伝統的な作り方で作り、材料を出来る限り地元の物を使用し、地産地消を意識しました。
- そうめんばちを加えて少し煮ることで汁にとろみが加わり、少ない醤油で塩味を感じられるようにしました。
- 給食会社、保育園で使いやすい材料を使用し、作り方も大量調理向けにして、就職した際に役に立つようにしました。
-
材料名 そうめんばち にんじん たまねぎ 薄揚げ 干ししいたけ 小ねぎの小口切り 薄口しょうゆ 塩 だし
(昆布・かつお)うま味調味料 TOTAL 塩分 減塩率 -
【A伝統レシピ】 【B 減塩レシピ】 【C 減塩レシピ+うま味調味料】 配合 塩分 配合 塩分 配合 塩分 12.5g 0.07g 12.5g 0.07g 12.5g 0.07g 12.5g - 12.5g - 12.5g - 12.5g - 12.5g - 12.5g - 2.5g - 2.5g - 2.5g - 2.3g - 2.3g - 2.3g - 1.3g - 1.3g - 1.3g - 3.8g 1.5g 1.3g 0.5g 1.3g 0.5g 0.1g 0.1g 0.1g 0.1g 0.1g 0.1g 150g 0.15g 150g 0.15g 150g 0.15g - - - - 0.05g 0.02g - 1.82g - 0.82g - 0.84g - - - 54% - 54%
- 干し椎茸は水につけて戻し、せん切りにする。その他の具材も全てせん切りにする。
- だしと1の野菜を鍋に入れて、火が通るまで煮る。
- 2に薄口しょうゆを入れ、そうめんばちを加えて軽く煮込み、塩とうま味調味料で味をととのえる。
- 小ねぎの小口切りを加え、器に盛りつける。
播州地方のそうめんは「揖保の糸」の名前で知られ、室町時代に始まり江戸時代から本格的に作られました。2本の管に8の字に生地をかけ、少しずつ細く延ばして作りますが、この時両端のUの字になった部分を切り落とします。これが「ばち」と言われる部分で、三味線の「ばち」に似た形なのでこの名前がついたと言われています。
約500年受け継がれてきた伝統の製法と熟練の職人が作るそうめんは私達が幼い頃から食べている家庭の味です。どこかにゅうめんに似た「ばち汁」ですが「ばち」の方が粘り気が強く、なんともいえない食べごたえがあります。懐かしくて温かみのある、播州で長く食べられてきた味を、次の世代に伝えていきたいと思います。
郷土料理は現在よりも保存する時の温度管理が難しい時に作られたものがほとんどで、塩漬けや発酵調味料などの必然的に塩分が高い物を使用して作られていると思います。そんな郷土料理の調味料を減らし、うま味調味料を加えることによって、うま味を増しながら減塩をするということが可能になることをこのコンテストを通して学びました。
近年、食事摂取基準の中の1日当たりの塩分摂取量が従来の基準値より男性で1g、女性で0.5g減っており、減塩を促す動きが強まってきていますが、郷土料理に限らず、様々な料理にうま味調味料を使用することにより、本来の美味しさを損なわずに美味しく減塩することが出来ると感じました。