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伝承賞
武庫川女子大学 生活環境学部 食物栄養学科 升井料理クラブ
- アミノ酸やビタミンを豊富に含む栄養価の高い酒粕を捨てることなく有効利用した、酒造りが盛んな地域ならではの、新世代に伝承していきたい郷土料理です。
- 塩分を単純に減らすことによる総合評価の低下を、うま味調味料を活用することで著しく改善しています。
- 仕上げにうま味調味料を加えるだけで簡単に高い減塩率を実現しており、うま味調味料の効果を上手に活用しています。
- 煮干しだしを使用していますが、煮干しだしに含まれるイノシン酸とうま味物質であるグルタミン酸との相乗効果をねらい、だしの補いとして使用しました。
- 仕上げに2振り入れることで、おいしさを向上させることを考えました。
【おいしい減塩のための効果】
- 総合評価でうま味調味料を活用した減塩レシピがわずかですが最も高い評価となりました。うま味調味料を最後に加えることで、汁のうま味の強さ、汁の飲みやすさが増したと考えられます。
- 具材の持ち味を損ねることなく「おいしい!」と感じるまとめ役になっていました。
- 「塩味のまろやかさ」の項目でも、うま味調味料の力が発揮されており、まろやかさを引き出す効果があることが分かりました。
- 食卓にのぼる機会が減っていくであろうと思われる粕汁を、薄味でもおいしく食べられるように、すべての人の心と体を温めてくれる一椀となるように工夫しました。
- 食材を大切にする心を忘れずに、具材に変化を持たせることで、味わい深い汁物として長く愛される料理になるよう工夫しました。
-
材料名 Aは塩鮭/B・Cは
豚もも薄切り肉だいこん にんじん たまねぎ こんにゃく 油揚げ 小ねぎの小口切り 酒粕 煮干しだし 米みそ(甘みそ) うま味調味料 TOTAL 塩分 減塩率 -
【A伝統レシピ】 【B 減塩レシピ】 【C 減塩レシピ+うま味調味料】 配合 塩分 配合 塩分 配合 塩分 20g 0.4g 20g - 20g - 15g - 15g - 15g - 10g - 10g - 10g - 10g - 10g - 10g - 5g - 10g - 10g - 10g - 10g - 10g - 2g - 2g - 2g - 18g - 18g - 18g - 150g 0.2g 150g 0.2g 150g 0.2g 12g 0.7g 10g 0.6g 10g 0.6g - - - - 0.2g(2振り) 0.06g - 1.3g - 0.8g - 0.86g - - - 38% - 34%
- 酒粕は、ちぎって米みそとともにすり鉢に入れ、分量の煮干しだしから少しとって柔らかくしておく。柔らかくなったら、すりこぎでよくすり、なめらかにしておく。
- こんにゃくは下茹でし、短冊切りにする。豚肉は1.5cm幅に切り、だいこん、にんじんはいちょう切りにする。
- たまねぎは縦半分にして薄切りにする。油揚げは熱湯で油抜きしてから短冊に切る。
- 鍋に煮干しだしを入れ、だいこんとにんじんを加えて煮る。火が通ったらたまねぎを加えて煮る。アクが出たら取り除く。
- 4にこんにゃく、油揚げ、豚肉を加えて、全ての具材に火が通ったら、1の酒粕を加えて味をととのえる。
- 器に盛り、うま味調味料を加えて軽く混ぜ、小ねぎの小口切りを散らす。
私たち日本人は、昔から食材を余すことなく食する食文化を大切にしています。日本酒をしぼった後に残る「酒粕」もそのひとつです。日本酒などのもろみを圧搾した後に残る白色固形物の酒粕は、アミノ酸、ビタミンB2や葉酸などのビタミンを多く含み、健康効果が期待される食品として価値が見直されています。
「粕汁」は具材の組合わせ方でいろいろな味わいを楽しめます。滋味あふれる一椀の「粕汁」が、私たちの心と体を温めてくれる料理としていつまでも残っていってほしいと願っています。
「粕汁」は、兵庫県の郷土料理の一つです。兵庫県には全国でも有名な灘五郷があり、さまざまな酒が造られています。醸造過程でできる「酒粕」と、淡路島特産のたまねぎを使用し、まろやかな味にすることで減塩につながるレシピを検討しました。
一般的には塩分濃度のつよい塩鮭を具材に使用しますが、豚肉にして減塩しました。しかし、減塩するとどうしても味に「物足りなさ」が出てきます。味の出る具材、たとえば油揚げを使ってもなかなかうま味を加えたときの味にまでは到達しません。2振りのうま味調味料が加わることで、滋味あふれる美味しい「粕汁」が完成しました。