最新のコンテスト【企画概要】ページは下記よりご覧ください。
長崎には古くから中国、オランダ、ポルトガルなど海外の影響を受けてきた独自の食文化があります。また、長崎特有の海岸線が長く平地が少ない地形や、温暖な気候などから生まれた地域の食文化もあります。これら多種多様の食文化が融合して長崎独自の食文化が作られました。
この様に長崎には様々な郷土料理がありますが、豚の角煮は中国と長崎の昔からのつながりを示す料理の一つです。そしてこの角煮を食べやすいようにまんじゅうの皮で包み、長崎独自にアレンジしたものが現在の角煮まんじゅうです。この角煮まんじゅうから長崎の郷土料理や卓袱料理に興味を持ってもらい、実際に長崎で食してもらえれば幸いです。
今回、うま味調味料活用郷土料理コンテストに参加するにあたり、角煮まんじゅうや長崎の郷土料理を調査しました。全体的に味付けが濃く塩分量が多いことが判明し、従来の郷土料理の問題点と、未来に伝承するために改善すべきポイントが明確になりました。
減塩食レシピを考案する際にはうま味調味料の活用方法も探りましたが、予想以上にうま味調味料に減塩効果があること、そして、うま味調味料には減塩効果以外に、食感にも影響を及ぼす可能性があることが判明しました。
また、今回はうま味調味料の使い分けについても調査を行いました。その結果、高核酸系うま味調味料と低核酸系うま味調味料には明確な味の違いがあり、料理によってうま味調味料を使い分けが出来ることも分かりました。
今後は今回のコンテストで知った郷土料理を未来に伝承し、減塩食とうま味調味料の関係を他の料理にも活用していきたいと思います。
- まんじゅうの皮と、豚の角煮とで、加えるうま味調味料の種類を検討し、それぞれよりおいしくなる方を選び使い分けた。
- まんじゅうの皮に加える食塩を減らし、低核酸系うま味調味料を加え、おいしく減塩した。
- 豚の角煮に加える濃口しょうゆを減らし、高核酸系うま味調味料を加え、おいしく減塩した。
- 減塩でも皮の味のおいしさと食感のふわふわ感を両立できるよう、塩分とうま味調味料の量を調節した。
味覚評価の結果、『うま味調味料活用減塩レシピ』は『伝統的なレシピ』と同じくらいふわふわで味もおいしく感じられたことから、うま味調味料が味だけでなく食感にも、感覚的に何らかの影響を与えている可能性があると考えられた。
- 昔ながらの角煮のレシピではかなりきつく香辛料が効かせてあるが、これは豚肉の臭みを消すことが目的だと思われる。
現代のように適切に処理・保存された豚肉は、昔に比べて臭くなくなってきていることも踏まえ、現代人の好みに合うようにするために、八角やシナモンなどの香辛料の量を減量した。
- 減塩でもおいしく食べられるよう、焦がさないようにしっかり煮詰めてから水溶き片栗粉でとろみをつけ、煮詰めた煮汁が角煮によく絡むように工夫をした。
下記の表は左へスワイプしてご覧ください。
A 伝統レシピ (1人分) |
B 減塩レシピ (うま味調味料不使用) (1人分) |
C 減塩レシピ (うま味調味料活用) (1人分) |
C 減塩レシピ (うま味調味料活用) 作りやすい分量 (10人分) |
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材料名 | 分量 | 塩分 (食塩相当量) |
分量 | 塩分 (食塩相当量) |
分量 | 塩分 (食塩相当量) |
分量 |
中力粉 | 30g | - | 30g | - | 30g | - | 300g |
40度の温湯 | 16ml | - | 16ml | - | 16ml | - | 160ml |
ドライイースト | 0.6g | - | 0.6g | - | 0.6g | - | 6g |
砂糖 | 1.5g | - | 1.5g | - | 1.5g | - | 15g |
食塩 | 0.3g | 0.3g | 0.1g | 0.1g | 0.1g | 0.1g | 1g |
サラダ油 | 2g | - | 2g | - | 2g | - | 20g |
低核酸系うま味調味料(A) | - | - | - | - | 0.1g | 0.03g | 小さじ1/3 |
豚ばら肉 | 30g | - | 30g | - | 30g | - | 300g |
根深ネギ | 2.5g | - | 2.5g | - | 2.5g | - | 25g |
しょうが | 1.3g | - | 1.3g | - | 1.3g | - | 13g |
水 | 125ml | - | 125ml | - | 125ml | - | 1250ml |
焼酎 | 75g | - | 75g | - | 75g | - | 750g |
紹興酒 | 11.3g | - | 11.3g | - | 11.3g | - | 110g |
濃口しょうゆ | 4g | 0.6g | 2g | 0.3g | 2g | 0.3g | 大さじ1強 |
高核酸系うま味調味料(B) | - | - | - | - | 0.1g | 0.03g | 小さじ1/3 |
八角 | 0.2g | - | 0.2g | - | 0.2g | - | 2g |
シナモン | 0.2g | - | 0.2g | - | 0.2g | - | 2g |
砂糖 | 2.5g | - | 2.5g | - | 2.5g | - | 大さじ3弱 |
かたくり粉 | 0.6g | - | 0.6g | - | 0.6g | - | 小さじ2 |
水 | 0.6ml | - | 0.6ml | - | 0.6ml | - | 大さじ1/2 |
ほうれん草 | 10g | - | 10g | - | 10g | - | 100g |
練り辛子 | 0.5g | - | 0.5g | - | 0.5g | - | 小さじ1 |
※うま味調味料は、低核酸系うま味調味料と、高核酸系うま味調味料とを使い分けた。
- 温湯、ドライイースト、砂糖、食塩、低核酸系うま味調味料(A)を混ぜる。
- 振るった中力粉に、①を加えよく混ぜ合わせ、サラダ油を加え10分くらいこねる。
- 生地を丸めて、ぬれ布きんをかぶせて、オーブンを40℃に設定し30分発酵させる。
- 発酵した生地を10等分に切りわけ、オーブンペーパーにのせ、麺棒で楕円形に伸ばす。
- オーブンを40℃に設定し15分二次発酵させ、せいろに移し、強火で10~15分蒸す。
- 豚ばら肉と根深ネギ、しょうが、水、焼酎を入れアクをすくいながら2~3時間下茹でする。
- ⑥をそのまま冷やし、肉を取り出し、湯で洗って1~1.5cmの厚さになるように切る。
- 下茹でに用いた煮汁を濾したものに、紹興酒、濃口醬油、高核酸系うま味調味料(B)、八角、シナモン、砂糖を加えて⑦を60分ほど弱火で煮込む。
- 煮汁に水溶き片栗粉でとろみを付ける。ほうれん草は下茹でし絞っておく。
- ⑤の饅頭の皮に豚の角煮とほうれん草をのせ、煮汁をかけ、練辛子を好みで添える。
<伝統レシピの調理手順>
うま味調味料使用の有無以外、伝統レシピの調理手順も同じ。