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奈良県内の大学に通い、食について学ぶ中で、奈良県の伝統料理である「奈良和え」を知りましたが、全国的に知名度が低いと感じました。また、奈良和えの最大の魅力は「奈良漬」が使われていることですが、大学生の私たちにとって漬物は身近なものとは言い難く、近年国民の食塩摂取量減少が掲げられる中で、塩分が多い食品として敬遠されています。
そこで、うま味調味料を活用した手作りの奈良漬を考案するとともに、奈良和えに含まれるあらゆる食材に対してうま味調味料の効果を与え、おいしく減塩する工夫を行いました。家族団らんの食卓を彩る、素朴でおいしいご飯の御供の「奈良和え」を、自信を持って全国にアピールしたいです。
奈良和えの魅力を伝えるにあたって、「減塩という現代のニーズに応え、手軽で身近なものへと進化させたい」という想いと、「先人たちの知恵や手法を途絶えさせることなく、伝統的なレシピに敬意を持って、古き良き味を伝えたい」という両極端な想いがありました。これらの葛藤を解決したのが「うま味調味料」です。減塩食は薄味であるという固定観念を覆し、美味しさ、やわらかさ、甘み、深みなど、様々な効果を生み出してくれました。手間のかかる作業を簡単にする効果もあり、忙しい現代人が郷土料理を楽しむためにも欠かせないと感じています。
今回「うま味」について学んだことで、伝統料理本来の良さや特性を尊重しながら、時代に合ったアレンジができました。病気で塩分制限が必要な人に懐かしい郷土料理を再び味わってもらえたり、日本だけでなく世界の料理に活かしたり、うま味調味料にはまだまだ多様な可能性が秘められていると感じています。
- 鶏肉にうま味調味料で下味をつけることで、臭みを抑えてうま味を一層引き立たせ、食感のしっとり感も向上するようにした。
- 調味時にうま味調味料を加えることでにんじんの甘みを強め、優しく柔らかな食感にした。
- 調味時にうま味調味料を加えることで、角張っていた一つ一つの具材の味に調和を持たせた。また、干ししいたけのもどし汁だけでは荒く物足りなかったが出汁風味が、うま味調味料によって相乗効果を発揮し、まろやかな味付けとなるようにした。
- こんにゃくのアク抜きをするために塩もみをするが、塩の一部をうま味調味料に置き換えることで、減塩しつつさらに臭みを和らげ、うま味が感じられるようにした。
- 手作りの奈良漬けは市販の物よりもあっさりしており、うま味調味料を使用したことでまろやかな風味に仕上がった。そのため独特な風味のイメージを持っている方や、奈良漬けを知らない方でもチャレンジしやすいようになっていると思う。
- 私たちの中にあった「漬物は漬物屋で作られるもの」「漬物だから塩分が多くて仕方ない」という意識を覆し、自分たちで作ってみることで最大限まで減塩に挑戦することができた。
- 「漬物は簡単に作ることができる」ということを伝えるため、密封ビニル袋等の身近なものを用いて実践した。
- 油抜きはお湯をわざわざ沸かすのが手間だが、電子レンジで行い、時短になるように工夫した。
- 「煮物は茶色くて地味」という印象を変えるため、大和まなで彩りを加え、写真に撮っても美しい見た目を楽しめるようにした。
下記の表は左へスワイプしてご覧ください。
A 伝統レシピ (1人分) |
B 減塩レシピ (うま味調味料不使用) (1人分) |
C 減塩レシピ (うま味調味料活用) (1人分) |
C 減塩レシピ (うま味調味料活用) 作りやすい分量 (4人分) |
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材料名 | 分量 | 塩分 (食塩相当量) |
分量 | 塩分 (食塩相当量) |
分量 | 塩分 (食塩相当量) |
分量 |
ゼンマイ | 25g | - | 25g | - | 25g | - | 100g |
かんぴょう | 2.5g | - | 2.5g | - | 2.5g | - | 10g |
干しシイタケ | 4g | - | 4g | - | 4g | - | 16g |
にんじん | 10g | - | 10g | - | 10g | - | 40g |
うすあげ | 5g | - | 5g | - | 5g | - | 20g |
こんにゃく | 12.5g | - | 12.5g | - | 12.5g | - | 50g |
塩 | 0.33g | 0.33g | 0.28g | 0.28g | 0.28g | 0.28g | 1g |
低核酸系うま味調味料(A) | - | - | - | - | 0.05g | 0.015g | 2ふり |
鶏肉 | 20g | - | 20g | - | 20g | - | 80g |
高核酸系うま味調味料(B) | - | - | - | - | 0.05g | 0.015g | 2ふり |
砂糖 | 5g | - | 5g | - | 5g | - | 大さじ2 |
みりん | 1g | - | 1g | - | 1g | - | 小さじ2/3 |
サラダ油 | 1g | - | 1g | - | 1g | - | 小さじ1 |
干しシイタケのもどし汁 | 20g | - | 20g | - | 20g | - | 80g |
うすくち醬油 | 5g | 0.8g | 2g | 0.4g | 2g | 0.4g | 小さじ1・1/3 |
高核酸系うま味調味料(C) | - | - | - | - | 0.05g | 0.015g | 2ふり |
奈良漬け(市販品) | 10g | 0.42g | - | - | - | - | - |
減塩手作り奈良漬け | - | - | 10g | 0.1g | 10g | 0.11g | 40g |
大和まな | - | - | 5g | - | 5g | - | 20g |
減塩手作り奈良漬けの材料名 | 分量 | 塩分 (食塩相当量) |
分量 | 塩分 (食塩相当量) |
分量 | 塩分 (食塩相当量) |
作りやすい分量 (きゅうり1本分) |
きゅうり* | - | - | 10g | - | 10g | - | 100g(1本) |
塩* | - | - | 1g | - | 1g | - | 10g |
酒粕* | - | - | 18g | - | 18g | - | 180g |
砂糖* | - | - | 6g | - | 6g | - | 60g |
みりん* | - | - | 3g | - | 3g | - | 小さじ5 |
低核酸系うま味調味料* | - | - | - | - | 0.1g | 0.03g | 10ふり |
※出来上がった「減塩手作り奈良漬け」の食塩相当量は、塩分濃度計で測定を行った値を記載。
※「*」付きの材料は「減塩手作り奈良漬け」の材料。
※うま味調味料は、低核酸系うま味調味料と、高核酸系うま味調味料とを使い分けた。
- こんにゃくは短冊切りにして、塩と低核酸系うま味調味料(A)で揉み、1分ほど下茹でする。
- かんぴょう、干ししいたけを水でもどし、かんぴょうは3cmの長さ、しいたけは細切りにする。しいたけの戻し汁はとっておく。
- 鶏肉は一口大に切り、高核酸系うま味調味料(B)を振りかけて揉みこんでおく。
- 奈良漬けは酒粕をぬぐい取り、食べやすい大きさに切る。
- にんじんは短冊切りにする。ゼンマイは水をきり、食べやすい長さに切る。
- うすあげは濡らしたキッチンペーパーで包み、電子レンジで500wで30秒に設定して油抜きし、短冊切りにする。
- 大和まな(今回使用するのは葉のやわらかい部分)も3cm角ほどの食べやすい大きさに切る。
- 鍋にサラダ油を熱し、奈良漬と大和まな以外の材料を軽く炒める。
- 鍋に、しいたけの戻し汁と、砂糖、みりん、うすくち醤油などの調味料、高核酸系うま味調味料(C)を加え、煮含める。
- 煮汁がなくなってきたら味を調え、手作り奈良漬と、大和まなを入れて、全体に馴染むまで和える。
<減塩手作り奈良漬の作り方>
①きゅうりと塩をビニール袋に入れて混ぜ、7~10日間、重石をして芯をくたっとさせる。 ②水分が出たきゅうりを半日程、陰干しする。 ③調味料と酒粕を混ぜ合わせる。 ④干したきゅうりと③の半量をビニール袋に入れ、1週間置く。残りの③の半量は別のビニール袋に入れ保管しておく。 ⑤きゅうりを取り出し、④で保管して置いた方へ漬け替え、さらに1週間置き、やんわりと風味のついたあっさり奈良漬になっていれば完成。
※ビニール袋はチャック付きの密閉できるものを使用。
<伝統レシピの調理手順>
伝統的な調理手順では⑥は電子レンジは使用せずに熱湯をかけて油抜きを行う。また①・③・⑧でのうま味調味料は使用しない。④の奈良漬けは伝統的なものでは市販のものを使用し、減塩レシピでは手作りしたものを使用する。