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準優勝

コイクイーン 長野県立大学 健康発達学部 食健康学科 調理学ゼミ

鯉こく(長野県)

鯉こく(長野県)

このページでは、受賞チームの応募内容・
審査員総評・レシピをご紹介いたします。

受賞者からのコメント

伝えていきたい鯉こく

鯉こくを次世代に伝えていきたい理由は、文献調査の結果、鯉こくが長野県の冠婚葬祭に欠かせない、地元の人々に愛されてきた郷土料理であると知り、実際、作って食べてみて、滋味深くうま味がたっぷりのおいしい料理だったからです。
今回、長野県佐久市や周辺で養殖される伝統食材の佐久鯉で鯉こくを作りました。佐久鯉は、千曲川の冷たい水で育てられるため、身がしまって脂肪が適度にのったおいしい肉質で、川魚特有の泥臭さが少ないことが特徴で、鯉こくをおいしく作ることができました。
また、鯉は栄養豊富な食材で、その切り身を丸ごと煮込む鯉こくは、鯉の豊富な栄養を無駄なくおいしく摂ることができる優れた料理だと思うからです。

郷土料理の伝承と
うま味調味料の可能性

国民健康・栄養調査の結果、長野県では、県民の食塩の摂取量が全国平均に比べ多く、脳血管疾患対策として減塩への取り組みが重要視されてきました。鯉こくは、鯉を長時間加熱し、味噌による鯉の生臭みや苦みをやわらげる効果を利用しておいしく仕上げる料理です。そこで減塩のために味噌を減らしてもおいしく作る方法を、うま味調味料を活用して検討しました。
その結果、うま味調味料を使用することで、味噌の使用量を半分に減らしても、苦みや生臭みを感じない、うま味の強いまろやかな仕上がりになりました。
うま味調味料の使用により、鯉に含まれるうま味成分との相乗効果で、鯉のうま味が強調され、おいしさが際立つ、減塩でもおいしいレシピを提案することができました。また、今回は電気圧力鍋を使用し、時短で手間をできるだけ省いて作るレシピを検討しました。今後もうま味調味料を活用し健康増進に寄与する郷土料理の伝承に励んでいきたいと思います。

審査員総評

  • 伝承性
  • 新世代へのフィット感
  • うま味調味料の活用度

受賞チームの味覚評価結果紹介

伝統的なレシピと減塩レシピ(うま味調味料活用)を比較すると減塩率31%伝統的なレシピと減塩レシピ(うま味調味料活用)を比較すると減塩率31%

うま味調味料の活用ポイント

おいしく減塩するために
工夫したところ

  • うま味調味料を、鯉の生臭みを消し、香味野菜の辛味を抑え、鯉こくの味をうま味でまとめることを目的にに使用し、おいしく減塩した。
  • 加熱調理後にうま味調味料を加えることで、よりうま味調味料が生かされるようにした。
  • 魚にはうま味成分としてグルタミン酸も含むがイノシン酸を多く含むことと、昆布じめをヒントに、うま味調味料としてグルタミン酸が主に含まれる低核酸系うま味調味料を選択した。うま味の相乗効果などで味噌を半量にしても、おいしい鯉こくレシピとなった。

次世代に伝えていくために
工夫したところ

  • 鯉には淡水魚特有の臭みを感じる。そのため、香味野菜(ねぎとしょうが)とうま味調味料を活用することで、臭みを緩和し、食べやすくなるよう工夫した。
  • 圧力鍋加熱とま味調味料を加えることで鯉をよりしっとり仕上げ、長時間煮込んだような柔らかさに調理した。
  • 鯉の臭みを消すためにしょうがを加えたが、しょうがの苦みや辛みが感じられたことからうま味調味料で抑え、食べやすくなるよう工夫した。

うま味調味料の活用以外のポイント

おいしく減塩するために
工夫したところ

  • 圧力鍋の調理では水分が蒸発しないので、水分を減らして加熱調理することを検討した。
  • しょうがを適量加えることで、減塩の物足りなさを補った。
  • 鯉と一緒に煮込むものに生姜と長ネギの香味野菜を加える伝統的なレシピを選択し、減塩しても鯉の生臭みをやわらげることができるように考えた。

次世代に伝えていくために
工夫したところ

  • 鯉は臭みが強いため、しょうがを一緒に煮込むことで臭みを緩和し、食べやすくなるようにした。また、しょうがを入れすぎると汁に苦みや辛みが現れたため、鯉の臭みを抑えつつ、苦み・辛みがでない適切な量を検討した。
  • 鯉こくは、レシピにはよるが、3~6時間調理に時間がかかり、この調理時間の長さが作るのを避ける理由となっていると考えた。よって、圧力鍋を使用して調理することで、調理時間を1/12程度に短縮することができるようにした。
  • 少ない食材で、圧力鍋で、簡単に調理できるように工夫した。
  • 冷凍保存した後、食べることを試みた結果、見た目、味、香り、食感に変化が感じられなかったので、多めに作って冷凍保存しておくこともできると考えられる。一人暮らしや少人数の家庭でも本レシピで試して欲しい。

材料

※うま味調味料は、低核酸系うま味調味料を使用。

作り方

  1. しょうがは、薄切りにする。ねぎは、大きめの斜め切りにする。
  2. 鍋に水(下茹で用)を入れて火にかけ、沸騰したら鯉の切り身を入れて2~3分ゆでる。
  3. 圧力鍋に、下茹でした鯉、水(煮汁用)、酒、みそ、みりん、砂糖、①のしょうが・ねぎを入れ、15分間の圧力加熱調理をする。
  4. 圧力加熱後、低核酸系うま味調味料を加えて全体に混ぜ合わせ、器に盛る。

〈伝統レシピの調理手順〉
③伝統的な調理手順は、ゆで汁を捨て、鯉一切れあたり、水333.5mlと酒33.5g、味噌33.5g、みりん16.5ml、砂糖1g、しょうがとねぎを入れ、強火で沸騰させた後、3時間くらい中火から弱火(鯉が動かない程度の火加減)で煮込む。途中、煮汁が減ったら水を加える。

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