うま味調味料のことなら、ここにおまかせ 日本うま味調味料協会

時短アイディア賞

だっちゃーず宮城県農業大学校 アグリビジネス学部2年

へそ大根の煮しめ(宮城)

へそ大根の煮しめ(宮城)

受賞者からのコメント

伝えていきたい
へそ大根のにしめ

丸森町筆甫地区の特産品であるへそ大根を使った「へそ大根のにしめ」は宮城県南地域の郷土料理です。へそ大根は輪切りにした大根を茹で、串に刺してから1ヶ月程寒風にさらし乾燥させるため、真ん中にへそのような穴が開くことからこの名前で呼ばれます。震災や台風の被害などの困難にもかかわらず、多くの人の尽力で生産が続けられた結果、全国的にも注目されるようになりました。

各家庭に「へそ大根のにしめ」のレシピがあり、私も小さい頃からなじんでいる料理です。素材本来からでるうま味はもとより、乾物を作る手間ひま、大切に紡がれてきた伝統を感じることができ、食べるとほっとします。若い世代にも日常的に食べてもらいたい料理です。

郷土料理の伝承と
うま味調味料の可能性

郷土料理の伝承には、作る機会を絶やさずにその味を次の世代へとつなげていくことが大事だと思います。そのため、現在、郷土料理を食べるとほっとできておいしいと感じる私たちの世代が、日常的に作って食べることができ、さらに次の世代へとつないでいけるレシピを目指しました。

郷土料理に使われるへそ大根、干ししいたけなどの乾物が利用されない大きな理由は「戻すのに時間がかかる」ことです。そこで、乾物を短時間で戻す方法を、うま味調味料を活用しながら検討しました。併せてうま味調味料を活用して素材の内側と外側に味の濃淡を付ける工夫をしました。

うま味調味料は使ったことがありませんでしたが、今回はその素材の味を引き立てながら味に深みを与える効果に驚きました。うま味調味料の成分によってもうま味の表れ方に違いがあることがわかりました。うま味調味料の活用方法をもっと多くの人に知ってもらいたいです。

審査員総評

  • 伝承性
  • 新世代へのフィット感
  • うま味調味料の活用度
  • 受賞作品の特徴

受賞チームの味覚評価結果紹介

伝統的なレシピと減塩レシピ(うま味調味料活用)を比較すると減塩率54%伝統的なレシピと減塩レシピ(うま味調味料活用)を比較すると減塩率54%

うま味調味料の活用ポイント

おいしく減塩するために
工夫したところ

  • 具材には最初にうま味調味料を加えて加熱することで、内部までうま味を浸透させました。
  • 外側に濃いうま味と塩分を感じることで満足感が得られるように、調味した煮汁を煮詰めてうま味調味料を加え、最後に具材の外側にだけ絡めています。

次世代に伝えていくために
工夫したところ

  • 乾物の戻し時間を短縮した分減少するうま味成分をうま味調味料で補いました。へそ大根から出たうま味も利用しています。
  • へそ大根やこんにゃく、にんじんのえぐみをうま味調味料を使用することで抑えました。
    上記については、それぞれうま味調味料の種類を変えて比較し、効果が高いうま味調味料を選択しました。
  • 電子レンジ調理ではパサつきがちな鶏肉をうま味調味料活用でしっとり仕上げました。

うま味調味料の活用以外のポイント

おいしく減塩するために
工夫したところ

  • 凍み豆腐は味を吸ってしまうので、加熱する具材の一番上に乗せることとし、全体の味が均一になるように工夫しました。
  • 里芋のねばりが若干残る煮汁にしょうゆで調味しているので、具材に味が絡みやすくなっています。
  • 最後にごま油を絡めることで、コクを加え、減塩が気にならないように工夫しました。

次世代に伝えていくために
工夫したところ

  • 一人暮らしの副菜を想定して、電子レンジだけで調理可能で手間がかからず、かつ減塩できる方法を検討しました。
  • 里芋は皮をむかなくてよいように加熱済みのものを使いました。
  • 思い立ったらすぐ作れるように、乾物の戻し方を工夫しました。干ししいたけは電子レンジを活用、へそ大根はレンジ加熱では硬さが残ったので、温湯に後から加えることとしました。
  • 具材は食べ応えと見た目の鮮やかさを考え、鶏肉、さつまあげ、いんげんを加えました。

材料

※うま味調味料は、高核酸系うま味調味料を使用。

作り方

  1. 耐熱ボウルに干ししいたけ(軸は折り取って除く)、結び昆布、水、高核酸系 うま味調味料(A)を入れて、干ししいたけに密着するようにラップをかけ、電子レンジ(600W)で2分加熱する。
  2. 加熱後温かいうちに、①にへそ大根を加えてラップを密着させておく。このまま作業をしている間にもどす(10分程度)。
  3. 鶏もも肉、こんにゃく、里芋(加熱済み)、人参は食べやすい大きさに切り、高核酸系 うま味調味料(B)をもみ込んでおく。
  4. 笹かまぼこ、さつまあげも食べやすい大きさに切っておく。
  5. 凍み豆腐は水(分量外)で湿らせて、大きければ食べやすい大きさに切る。いんげんも食べやすい大きさに切る。
  6. 大きめに切ったクッキングシートを皿の上に広げ、やわらかくもどした②の乾物を戻し汁ごと入れる。③、④も加え、みりん、高核酸系 うま味調味料(C)を汁に加え、最後に⑤を上に乗せる。クッキングシートを皿の上でキャンディのように包み、ラップをして、電子レンジ(600W)で5分加熱する。
  7. 加熱後、クッキングシートを開いて汁だけ耐熱ボウルに取り出し、しょうゆ、砂糖を加え、ラップをせずに電子レンジ(600W)で1分半加熱する。
  8. 加熱した汁に⑦で分けた具材をもどし入れ、高核酸系 うま味調味料(D)、ごま油を加えてよく混ぜる。

〈伝統レシピの調理手順〉
①② へそ大根は、一晩水につけてもどし軽くしぼる。干ししいたけは水に浸けてもどし軸を除く。干ししいたけのつけ汁はだし汁として用いる。結び昆布は、早煮昆布をさっと洗い2~3センチ幅に切って、軽く結ぶ。
③ 人参は皮をむき、斜め切りにする。里芋は皮をむき、大きいものは斜めに二つに切る。
こんにゃくは塩をつけてもみ、水洗いした後、切ってゆがく。
④ 笹かまぼこは、1枚を斜めに二つに切る。
⑤ 凍み豆腐はぬるま湯につけてもどし軽く絞り、大きいものは三角に二つに切る。
⑥⑦⑧ 鍋にすべての材料、だし汁(かつおぶし・干ししいたけの戻し汁)、調味料を入れて火にかけ、沸騰したら弱火にして汁気がなくなるまで煮る。

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