鯖寿司は、京都が「食」に注ぐ愛と情熱の結晶です。京都は「鯖街道」という物流ルートの終着点です。冷蔵保存ができない中、鯖を食べたいと考えた京都の人々が頼ったのが塩でした。腐りやすいとされる鯖を塩漬けにすることで、漁獲地の福井から京都までの長い道のりを乗り越えさせたのです。
しかしながら、現在特に若者世代で魚離れが進んでおり、鯖の購入量は年々減少しています。また、減塩の意識が高まる中で、塩分の多い料理は敬遠される傾向があります。そこで、うま味を強めることで幅広い世代が楽しめ、かつ減塩できる鯖寿司のレシピを提案することで、これらの課題を解決しました。京都が誇る料理の素晴らしさを実感して欲しいです。
私たちが本大会で得た最大の気づきは、郷土料理と現代の技法を掛け合わせることの重要性です。今回提案したレシピでは、鯖を塩漬けしないことで生じる水っぽさ・食中毒のリスクを脱水シートや低温冷凍によって解決しました。伝統料理の技法をただ再現するだけではなく、その根底にあるエッセンスを理解して、新たな技法も取り入れていく姿勢には大きな意義があると考えました。
特に今回は、うま味調味料を使うことで満足感を保ちながら塩分を減らせることを体感しました。特に興味深かったのは、ただ塩を減らしたレシピでは甘味・酸味まで弱く評価されたことです。うま味は塩味を強めるだけではなく、食品の味わい全体を底上げする力があることを知りました。
今回の学びから、うま味調味料に代表される現代の技術と伝統を組み合わせた《新しい伝統》の可能性を見出しました。次世代の食文化の担い手として、今後も伝統文化の発展と伝承に努めていきたいです。
A 伝統的なレシピ (1人分) |
B 減塩レシピ (うま味調味料不使用) (1人分) |
C 減塩レシピ (うま味調味料活用) (1人分) |
C 減塩レシピ (うま味調味料活用) 作りやすい分量 (2人分) |
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材料名 | 分量 |
塩分
(食塩相当量) |
分量 |
塩分
(食塩相当量) |
分量 |
塩分
(食塩相当量) |
分量 | |
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【しめ鯖】 | ||||||||
しめ鯖(市販品)※ | 100g | 1.6g | ー | ー | ー | |||
鯖(半身) | ー | 100g | 0.4g | 100g | 0.4g | 200g | ||
食塩 | ー | ー | ー | ー | ||||
高核酸系 うま味調味料(A) | ー | ー | 0.2g | 0.06g | 4ふり | |||
酢 | 適量 | 適量 | 適量 | 適量 | ||||
【酢飯】 | ||||||||
米 | 1/2合 | 1/2合 | 1/2合 | 1合(150g) | ||||
酢 | 9ml | 9ml | 9ml | 小さじ3・1/2強 | ||||
砂糖 | 3.4g | 3.4g | 3.4g | 小さじ2強 | ||||
塩 | 2.5g | 2.5g | 1.25g | 1.25g | 1.25g | 1.25g | 小さじ1/3強 | |
高核酸系 うま味調味料(B) | ー | ー | 0.2g | 0.06g | 4ふり | |||
大葉 | 0枚 | 3枚 | 3枚 | 6g | ||||
【煮切醤油】 | ||||||||
酒 | ー | 1g | 1g | 小さじ1/2弱 | ||||
みりん | ー | 1g | 1g | 小さじ1/3 | ||||
高核酸系 うま味調味料(C) | ー | ー | 0.1g | 0.03g | 2ふり | |||
醤油 | 5g | 0.7g | 3g | 0.42g | 3g | 0.42g | 小さじ1 |
※伝統レシピのしめ鯖は、塩による脱水が含まれるので、正確な塩分量を見積もるのが難しいく、食品成分表示から算出しました。
※うま味調味料は、高核酸系うま味調味料を使用。
〈伝統レシピの調理手順〉
① 伝統的な調理手順では、脱水シートではなく、塩漬け(塩サバ)にすることで、脱水を行う。(サバの全面が覆われるくらいの食塩を振り、冷蔵庫で一時間置く。)
⑥ 伝統的な調理手順では、大葉を入れずに酢飯を作る
⑦~⑧ 伝統的な調理手順では、みりんなどを加えない醤油を用いる。
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